It's A Wonderful World / Spike Robinson Quintet

テナー・サックス奏者のスパイク・ロビンソンは知名度が高いとは言えませんが、その音色は以前にこの欄で紹介したズート・シムズと同じように暖かくて70年代末から2000年にかけて素晴らしい作品をたくさん残しています。(当店には20枚くらい彼のアルバムがあります)

米国生まれですが英国に憧れて渡英しレスター派のテナー奏者として癒し系の最右翼に挙げられるほどでした。50歳を過ぎてからエンジニアの職を離れてミュージシャンになったというやや異色の経歴の持ち主でもありました。

1985年録音の本作はロイ・ウィリアムズ(トロンボーン)とフロント二管を編成して絶妙の絡み合いが至るところで展開し、リズム・セクション(ピアノ・トリオ)も洗練されたバックアップをしています。

アルバム・タイトルの曲以外にも "Poor Butterfly", "Have You Met Miss Jones?", "The Touch Of Your Lips" などスタンダード曲を中心の構成であっという間に心地よい時間が過ぎて行きます。

今回は癒し系と言われる彼の雰囲気が強く漂うこの作品を推薦していますが、もちろん他の作品にも耳を傾けていただければと思います。

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(LP)