Vanguard で楽しんでいただけるアルバムで店主おすすめのものをご紹介。
もちろん好みは人それぞれなので賛否分かれることもあるでしょうが、あくまでも個人の感覚でえらんでいます。
そして興味をもたれたアルバムがあれば来店の際に遠慮なくリクエストしてください。
また、それ以外にもお好きなアーティストや聴いてみたい作品があれば遠慮なくおっしゃってください。
ギタリストがリーダーの作品を紹介するのは初めてですが、私の知る限りギターが好きでこのアルバムを好まない人はいないのではないかと感じています。楽器の好みは別にしても長年にわたって本作を愛聴なさっている人が多いのではないでしょうか。
さて、ケニー・バレルは1931年生まれで本作は66年から67年にかけての録音で、内容について簡単に言うと「ベニー・グッドマン&チャーリー・クリスチャンへのトリビュート・アルバム」で、58年~59年にグッドマンのバンドに籍を置いてクリスチャンとも因縁があったことが窺えます。
このアルバムのメンバーの中心は、ケニーをはじめフィル・ウッズ(アルト・サックス/クラリネット)、ロン・カーター(ベース)、グラディ・テイト(ドラム)達で更にヴィブラフォンやピアノが曲によって加わります。
ケニー・バレルと言えばブルージーなギターといったイメージが強いかもしれないが、この作品ではコード・ワークの美しさとかポップとも言える歌心にあふれていて、ジャズ・ファンでなくとも楽しく聴くことができます。この作品の後一般にギタートリオ+ワンホーンの編成が多くなるきっかけになりました。
"Poor Butterfly", "Stompin' At The savoy", "If I Had You" など前述のチャーリー・クリスチャンが40年代初頭に所属していたベニー・グッドマン・セクステットのレパートリーを中心に演奏したもので、軽快でリラックスした雰囲気の中にも各プレーヤーのソロが光っている名盤です。
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( LP / CD )
20年ほど前にたまたまCDRに残して楽しんでいた作品がいくつかありましたが、その後中古CDショップなどで探しても元のソフトを手に入れることができず当店で聴いてもらうことができなかったのですが、最近インターネットを通じて購入できたのが今回の推薦アルバムです。
モダン・ジャズ・カルテットはご存知のようにジョン・ルイス(ピアノ)、ミルト・ジャクソン(ヴィブラフォン)、パーシー・ヒース(ベース)、コニー・ケイ(ドラム)のメンバー編成で数々の作品を世に送り出していたわけですが、1992年から翌年にかけて創設40周年を記念して交流のあるミュージシャンが加わって録音された編集盤です。
そのミュージシャンとはフィル・ウッズ(アルト・サックス)、イリノイ・ジャケー(テナー・サックス)、ハリー・エディソン(トランペット)、フレディ・ハバート(トランペット)などなかなか豪華なメンバーですが、私としてはウィントン・マルサリス(トランペット)が加わる tr. 3 "Cherokee" がお薦めです。
ミルト・ジャクソンの流麗で生き生きとしたヴィブラフォンにマルサリスの洒脱なトランペットが絡んで「粋」というのはこういうことだなと思わせてくれます。またこのパフォーマンスによってこの楽曲の素晴らしさも再認識させられます。
もちろん他のミュージシャンによるその他の演奏にも耳を傾ける価値のあるものがぎっしり詰まった素晴らしい作品になっています。
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(CD)
今回紹介するクリスティーン・ヒット(ヴォーカルおよびピアノ)の名をご存知の方は多くないかと思います。10年くらい前に中古ソフトの店で、私の好きなスタンダード曲がたくさん収録されているという理由だけでこのアルバムを購入して、それ以来愛聴盤になり当店でも度々流しています。
彼女の背景については、1963年ミネソタ州生まれで音楽家の両親のもとに育ち、 ミネソタ大学卒業後にアリゾナ大学で修士課程をそれぞれピアノを専攻したようで、学生時代にすでにディジー・ガレスピーやパティ・ペイジと共演する経験があったということです。
残念ながら、彼女の作品は本作以外には少なくとも日本国内では流通してないようですが、このアルバムは1997年から98年にかけて録音され、数曲のピアノトリオ演奏(もちろんクリスティーンのピアノ)を含めて内容のあるヴォーカル作品になっています。
アルバムタイトルになっているTr.1の "You'd Be So Nice ~" はクリスティーンのスキャットから始まり、冒頭からリスナーをグイグイ引っぱっていく感じで軽快かつ爽快感を与えてくれます。"Moonglow", "Thou Swell", "I've Got a Crush on You", "My Foolish Heart" など、スロー、ミディアム、アップ・テンポと曲調も多彩で選曲にもセンスの良さが感じられて、私自身飽きの来ない作品として楽しんでいます。みなさんにも聴いていただきたいアルバムです。
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(CD)
"All 0f Me" という曲を好きだという人がかなりいるなと以前から感じていましたし、数あるスタンダード曲の中でも多くのミュージシャンにとりあげられ愛されてきた優れた楽曲の一つであると思われます。
この欄では曲のいわれや詳細については触れませんが、「この曲のベスト・テイクは何だろうか?」という話しをしたいと思います。
レスター・ヤング~テディ・ウィルソン 'PRES and TEDDY' もあり、ビル・パーキンス 'JUST FRIENDS' やスコット・ハミルトン~バディ・テイト 'BACK to BACK' などなかなか素晴らしいものがあるのですが、私としては今回の推薦盤 'LEFT ALONE '86' に収められたマル・ウオルドロン(ピアノ)とジャッキー・マクリーン(アルト・サックス)のパフォーマンスをあげます。
アルバム・タイトル曲の "Left Alone" や "Lover Man"、"Good Morninng Heartache" などもいいのですが、この "All of Me" は今から30年ほど前に強いインパクトを私に与え、ピアノトリオ中心に聴いていた好みが一変してホーン作品へと向かわせてくれるきっかけとなりました。キャリアから言ってもマルがリーダー格になると思いますが、彼のピアノトリオを従えてマクリーンの「泣きアルト」が心をわしづかみにします。ぜひ一度聴いてもらえたらと願っています。
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(CD)
P.S.
つい先日当店で常連の青年にこの "All of Me" を聴いてもらったら、ずいぶん感動して「この曲のパフォーマンスで急きょ上位に浮上しました!」と言って喜んでいました。
"Work Song", "The Old Country" などの名曲の作曲者としても知られるナット・アダレイ(コルネット)のアルバムが今回の推薦盤です。
ナットはライオネル・ハンプトン楽団やウディ・ハーマン楽団での活動の後、1959年に兄のキャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)がマイルス・デイヴィスのバンドから独立した際に再結成したバンドに加入して兄を長い間サポートしました。兄が1975年に他界した後はショックのあまり一時活動を停止しましたが、その後ロン・カーターやジョニー・グリフィンなど様々なミュージシャンと共演しました。
本作は1990年の録音で、当時ナットは59歳で晩年にあたる時期と言えるかと思います。そしてもう一方のヴィンセント・ハーリングはまだ26歳という若さで、以前からキャノンボールを手本として勉強していてナット・アダレイ・クインテットに加わるのが彼の望みだったということです。二人は強い絆で結ばれていたということです。
この二人のフロント二管によるクインテットは、ナットの洗練されたコルネットに対してヴィンセントのアルトはエネルギッシュで対照的ですが、この作品の解説(山口弘滋氏)にもあるように「アーシーな部分と洗練された部分とが絶妙のバランスで混然一体となって生み出されていると言えばいいだろうか。」というのが的を得た表現かと思います。ファンキー・ジャズのイメージが強いナットとはずいぶんちがった雰囲気が感じられます。
アルバム・タイトル曲以外にも "Bohemia After Dark", "Stella By Starlight" など素晴らしい演奏が繰り広げられます。
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(CD)
なんとなく気持ちが和らぐようなヴォーカル作品を聴きたいなと思う時に候補の一つに浮かぶのが今回の推薦盤のヘイリー・ロレン「ハート・ファースト」です。
彼女は米国のアラスカ州で幼少期を過ごし、ナット・キング・コール、エラ・フィッツジェラルド、ダイアナ・クラールなどを聴いて育ったという環境が今日の彼女を形成しているようです。
例えば以前にも紹介したダイアナ・クラールのようにハスキーでやや個性の強い声質とはちがって自然体の優しさを感じさせるシンガーと言ってよいかもしれません。いつまでも飽きずに心地よく耳を傾けていられるところが最大の魅力かと思います。
数年前に来日した際に彼女のライヴ・ステージを楽しむ機会がありましたが、歌唱力の素晴らしさはもちろんのことしばらく彼女と話しをして素朴で温かい人柄だなあと感じました。
彼女のアルバムが5~6枚ありますが(それぞれ質が高いです)、2011年ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム(ジャズ批評)に選出されたこのアルバムを絶賛される人が少なくなくて当店で聴いたのちに購入された方が何人かおられます。
"Taking a Chance on Love", "My One and Only Love", "Smile" をはじめとするスタンダード曲も多く、おまけに桑田佳祐の "Ellie, My Love"まで入っています。
ジャズをベースにした作品ですが、ジャンルを越えて多くの人が楽しめる優れたヴォーカル作品ではないかと思います。
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(CD)
テナー・サックス奏者のスパイク・ロビンソンは知名度が高いとは言えませんが、その音色は以前にこの欄で紹介したズート・シムズと同じように暖かくて70年代末から2000年にかけて素晴らしい作品をたくさん残しています。(当店には20枚くらい彼のアルバムがあります)
米国生まれですが英国に憧れて渡英しレスター派のテナー奏者として癒し系の最右翼に挙げられるほどでした。50歳を過ぎてからエンジニアの職を離れてミュージシャンになったというやや異色の経歴の持ち主でもありました。
1985年録音の本作はロイ・ウィリアムズ(トロンボーン)とフロント二管を編成して絶妙の絡み合いが至るところで展開し、リズム・セクション(ピアノ・トリオ)も洗練されたバックアップをしています。
アルバム・タイトルの曲以外にも "Poor Butterfly", "Have You Met Miss Jones?", "The Touch Of Your Lips" などスタンダード曲を中心の構成であっという間に心地よい時間が過ぎて行きます。
今回は癒し系と言われる彼の雰囲気が強く漂うこの作品を推薦していますが、もちろん他の作品にも耳を傾けていただければと思います。
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(LP)
今回はピアノ・トリオを紹介させて頂きます。
今から20年ほど前、当時最大のジャズ情報誌だった「スィング・ジャーナル」(すでに廃刊)の新譜紹介記事を読んで私は大阪梅田の「LPコーナー」(こちらもすでに廃業)へと向かいました。私は別のアルバムを購入するつもりでしたがあいにく店にはそれがなくて店の人(おそらく店主の奥様)がジョン・ヒックスのこの作品を薦めてくれて、それ以来今日に至るまで私の favorite one になっています。
ジョン・ヒックスはソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンをはじめ様々な年代のアーティスト、そしてソロからビッグ・バンドまであらゆるフォーマットで個性的なプレイを繰り広げてきました。その実力に対して一般的な人気が追いついていない時期もありましたが、97年録音のこの作品あたりから世評が高くなった感があります。
"Beautiful Love", "Cry Me A River", "Alone Together" などのスタンダード曲を独自の切り口でさわやかに演奏していて、ビギナーの方からマニアまで誰もが楽しむことのできる作品になっています。
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( CD)
ヴィブラフォンと言えばミルト・ジャクソンのイメージが強いかと思いますが、実際のところ50年代を通じてモダン・ジャズのヴァイヴはミルト一色に支配されていたと言っても過言ではないでしょう。
しかし今回推薦するレム・ウィンチェスターが61年に不幸な死を遂げることがなかったならミルトの独走はなかったのではないかと思われます。
レムのプレイはミルトと同じくスィンギーな歌心を受け継いでいますが、より硬質でヴィブラートもそれほど強くなく緊張感を伴ったドライな表現が特徴と言われています。
本作は1959年の録音でトミー・フラナガン(ピアノ)、アート・テイラー(ドラム)、ウェンデル・マーシャル(ベース)の絶妙のバックアップが光りますが、何と言ってもベニー・ゴルソン(テナー・サックス)との共演が相性も良くレムの乗りの良さに何とも言えない心地よさがあってうっとりしてしまいます。
"If I Were A Bell", "Will You Still Be Mine", "The Dude" といったナンバーでジャズの素晴らしさや楽しさを感じさせてくれる内容で、耳を傾ける度に当時彼がもっていた可能性が未完成のうちに終わってしまったのが残念に思われます。
以前にこの欄で紹介したヴィクター・フェルドマンとともにヴィブラフォンの名手の作品を楽しんでみてください。
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(CD)
70年代にウエスト・コーストのロック・クイーンとして華々しい活躍をしていたリンダ・ロンシュタットが80年代に入ってジャズ・スタンダード曲集の3部作を発表しましたが、そのいずれも作品の完成度が高くて話題を呼び評価されました。
それ以前から歌唱力の高さには定評のあったリンダですが、ジャズ・ヴォーカリストとしてもその才能を発揮したわけで3部作がそれぞれ200万枚のセールスを記録したことにも納得させられます。
3部作のタイトルは発売順に "WHAT'S NEW"(1983年)、"LUSH LIFE"(84年)、そして "FOR SENTIMENTAL REASONS"(86年)が今回の推薦盤ですがいずれも優れたヴォーカル・アルバムで、名編曲・指揮者のネルソン・リドルの協力を得てオーケストラをバックに美しいバラードを中心にしたスタンダード曲のオン・パレードになっていて、当時40歳にさしかかっていた彼女が披露した本作は成熟したヴォーカルとはこういうものかと思わせてくれます。当店でこの作品を聴いた方たちは例外なく絶賛されているように感じます。
アルバム・タイトル曲以外にも "When You Wish Upon a Star", "Bewitched", "But Not For Me" などジャズ・ビギナーの方たちにとってもスタンダード曲を知るのに最適な作品かと思います。
最後にエピソードを一つ...
学生時代にジャズ研でヴォーカルを担当していた女性が卒業後もヴォーカル・トレーニングを続けていて、確か課題曲が "Bewitched"だったかと思いますが、レッスン・プロの女性からこの作品のリンダの歌唱を聴いて手本にしなさいと言われたそうです。
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(CD)
以前にこの欄で紹介したダスコ・ゴイコヴィッチ(トランぺッター、ユーゴスラビア出身)の再登場です。
1993年ニューヨーク録音の作品で、2年半前に当店をオープンした頃から本作を流すことは時おりあったのですが、時間の経過とともに常連の方たちの間でダスコの名が認知されて、特にこの作品はリクエストが多く私自身も聴けば聴くほど内容が素晴らしいなと感じてます。
編成はダスコ(トランペット、フリューゲルホーン)以外に、トミー・フラナガン(ピアノ)、ジミー・ヒース(テナー・サックス)、エディ・ゴメス(ベース)、そしてミッキー・ロッカー(ドラムズ)となかなか豪華なクインテットです。
1曲を除いてすべてダスコのオリジナル曲ですが、それらが佳作揃いで抒情的な奥深い演奏が繰り広げられて心の襞に触れてきます。日が暮れた後に聴くとなおさらで「ジャズが好きで、この作品に出会えてよかった!」と思えます。
先日も20代後半の常連客の青年二人がその週の仕事から解放された金曜の夜に来てくれて、このアルバムをレコードで楽しんで最後の曲(唯一のスタンダード曲 "I'll Close My Eyes") のエンディングではスピーカーに向かって自然に拍手が沸き起こりました。数日後一人はこの作品のCDをゲットしました。
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(LP / CD)
「泣きのアルト」と呼ばれるサックス・プレーヤー、ソニー・クリスが1959年に録音した作品を紹介します。
多くのウエスト・コースト・ミュージシャンが40~50年代にかけて東海岸に活躍の場を移したのに反して彼は西海岸から全く出ようとはせず、ライブ中心の活動から抜け出すことができなくて、このことがプロ・ミュージシャンとしての彼自身の境遇を恵まれないものにした可能性があります。
しかし60年代に入ってのヨーロッパ滞在でレコーディング・アーティストとしての機会を得てからは数々の傑作アルバムを生み出しました。
本作はそういう時期の直前に作られた、リラックスした中にもハード・バップの熱気を失わない稀に見る好セッションと言える内容になっています。
"Sweet Lorraine", "Softly, As In A Morning Sunrise", "Indiana" などほとんどの曲でオラ・ハンセン(トロンボーン)との二管フロントは絶妙な絡み具合で、さらにウィントン・ケリー(ピアノ)以下のリズム・セクションがしっかりとサポートしてアルト・サックスの魅力が堪能できる素晴らしい作品になっています。全7曲35分余りがあっという間に過ぎて充足感が訪れます。
(LP / CD)
数々の名盤を世に送り出したスタン・ゲッツ(テナー・サックス )が好きだという方はたくさんおられるでしょうが、ジャケットのデザインがかなり地味なせいもあってこの作品をご存じない方が多いのではないでしょうか。
彼の晩年といえる1989年のライブ・アルバムで前半はスコットランドのグラスゴーでのジャズ・フェスティバルで、そして後半はコペンハーゲンで録音されました。
ゲッツらしいクールな(カッコイイ! の意味)演奏が続く作品ですが、特に後半の2曲、"Slow Boat To China" と "Hush-A-Bye" におけるグイグイとリスナーを惹きつけていくテナー・サックスの魅力に、さらにケニー・バロンのエッジがたった流れるようなピアノの音が寄り添って素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられています。
上手く伝えることができなくて申し訳ないですが、私にはこの日このコペンハーゲンの会場には音楽の神様が舞い降りていたような気がします。
当店でこのアルバムを流すと、ほとんどの方がジャケットを確認されて帰られます。はっきりといい作品を聴いたという感想を頂くこともあります。世に多くのゲッツの作品が出ていますが本作はまだという方、そしていいジャズを楽しみたいという人には是非聴いてもらいたい1枚です。
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(CD)
今回は久しぶりのピアノ・トリオ作品です。
今から30数年前、バロック音楽を中心に主にクラシック音楽をよく聴いていた私がジャズに傾倒するきっかけになったのがケニー・ドリュー(ピア二スト)による本作品です。
当時CDが出現してあまり時間が経っていなくて録音のクオリティーが高い作品を特集した本の中にこのアルバムがとりあげられていました。確かかなり高い録音の評価が与えられていてすぐに買い求めた記憶があります。
耳を傾けてみて、オーディオ的な素晴らしさに感心しただけでなく「ジャズって楽しい! いい!」とワクワクして、そして今日に至ってます。
ファン投票によって上位に選ばれたスタンダード曲を収録したのが本作品です。すでに廃刊になったジャズ誌「スイング・ジャーナル」の企画でした。
"Softly As In A Morning Sunrise" に始まり最後の "Round Midnight" に至るまで軽快でさわやかな演奏はBGMとしても楽しめますが、じっくり音楽と向き合うのに十分な内容を備えています。
ベースはニール・ペデルセン、ドラムズはエド・シグペンで1985年コペンハーゲンにて録音されました。
( LP / CD )
現在最も美しい音色のクラリネット奏者と評されるケン・ペプロフスキーの作品です。
そのファミリー・ネームから東欧出身?と思われるかもしれませんが、アメリカ人でこれまでコンコルドやビーナスといったレーベルからたくさんのリーダー・アルバムを出してきました。現ベニー・グッドマン・オーケストラのリーダーでもあります。彼の作品をお持ちの方も多いかと思います。
当店にもCDで何枚もの彼のアルバムを備えていますが、今回は敢えて1989年録音のレコードによる本作を推薦します。
温かいクラリネットの音だけでなく曲によってはアルト・サックスやテナー・サックスも演奏し、作品全体に彩りと穏やかな変化与え、Howard Alden のギターも加わって昼夜を問わず楽しめる素晴らしい作品に仕上がっています。最近何をかけるか迷った時にこのアルバムを流していることが多く、おそらく万人受けする数少ないものかと思います。
(LP)
数週間前、普段よく当店に来てくれる20代後半の青年に今回おすすめの作品を初めて聴いてもらったら、彼はとても感動して早速インターネットでこのアルバムを探したところ在庫がなくがっかりしていましたが、たまたま私があるレコード店で見かけたことを彼に話すとすぐにその店に連絡して後日めでたくゲットしました。
ジャズに関心があってこの作品のことを書物で読んだり、あるいは人から聞いたりしていても実際に聴くチャンスに恵まれない方もいらっしゃるかもしれません。
1956年にレスター・ヤングほかかなりの年齢に達したスイング・スターたちが一堂に会してこの作品が出来上がったわけですが、それぞれ枯淡の域に達した大人ならではの演奏を展開しています。
特に最初の曲、"I Guess I'll Have To Change My Plan" は最も美しいコンボ作品と言われる本作を代表しています。テディ・ウィルソンのピアノ・イントロに始まり、レスター・ヤング(テナー・サックス)→ヴィック・ディケンソン(トロンボーン)→テディ(再びピアノ)→ロイ・エルドリッジ(ミュート・トランペット)とソロが続き、音楽を演奏することの喜びにあふれたナチュラルな名演となっています。私自身初めてこの作品を聴いた際の感動をつい昨日のことのように思い出します。
「ジャズが好きでよかった!」と思わせるこのアルバムの素晴らしさを私の拙い文章は十分に伝え切れていませんが、是非一度聴いてみてください。
このアルバムの出来があまりにもよかったため急遽予定が変わってその翌日にもう一枚の傑作が誕生しました。「プレス・アンド・テディ」がそれです。もちろんこの作品も当店で楽しんでいただけます。
今回はこの欄最長のものになりました...
(LP/CD)
デイブ・ブルーベック・カルテットが好きな人が結構いると以前から感じていましたが、私も含めてその人たちの多くはメンバーの一人ポール・デズモンドのアルト・サックスの音色の美しさに惹かれるのではないかと思います。もちろんジョー・モレロのドラミングの素晴らしさやブルーベックの洒脱なピアノが好みの方もいらっしゃるかと...
1958年コペンハーゲンで録音された本作は "Tangerine", "The Wright Groove" など素晴らしい演奏ですが、特に "Like Someone In Love" は是非本作での美しいパフォーマンスを楽しんでいただければと思います。
クールな表情を湛えたデズモンドのアルトは、その知的な雰囲気故に当時のインテリ層に受け入れられたと考えられます。
この作品以外にも「タイムアウト」や「ラブソングズ」などおすすめのアルバムがたくさんあります。一日の終わりや休日のリラックス・タイムに甘く切ないメロディーとアコースティックな響きは心を優しくしてくれます。
( LP )
オランダ出身の女性シンガー、リタ・ライスの1979年の作品が今回のおすすめです。
ご主人のピム・ヤコブ率いるピアノ・トリオの伴奏だけだったら目に留まらなかったかもしれませんが、ジョニー・グリフィン(テナー・サックス)が参加していることがおもしろそうで聴いてみると表情が豊かで生き生きとした作品に仕上がっています。
選曲も "Too Marverous For Words", "My Foolish Heart", "The Touch Of Your Lips" などアメリカン・スタンダードの佳作が揃っていて、リタ・ライス円熟期の最高傑作と呼ばれるだけあってしっとりと奥深い味わいが感じられます。
リタのややハスキーな声に切れのいいピアノだけでなくグリフィンのテナーが絶妙に絡んで夕暮れ以降に音楽とじっくり向かい合うのにおすすめの一枚です。
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(CD)
クラーク・テリー(トランペット、フリューゲル・ホーン)は参加したアルバムの数の膨大さからおそらく最大のレコーディング経験を積んだ人だと言われています。
そのキャリアの豊かさや努力、研究から積み重ねられた実力や技巧により彼の演奏にはいつ聴いてもほっとさせられ、なごやかにさせられ更にジャズの楽しさや素晴らしさを感じさせられます。
そのテリーが1988年に発表した本作は史上有名なトランぺッターに捧げる演奏をワンホーン・カルテットで披露してます。
マイルスへの "Autumn Leaves", ロイ・エルドリッジへの "Little Jazz" などいずれも個性的な表現で楽しく聴けます。この作品でクラーク・テリーに興味をもつ人が多くなるような気がします。
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( CD )
私が7年くらい前から通っている大阪日本橋の USED CD ショップ 「レコードワン」の若き店主中村氏が最近薦めてくれた作品が今回のおススメで、テナーサックスの現役プレーヤーとして最も売れている一人と言えるハリー・アレンの2014年のアルバムです。
彼の名前、作品をご存じの方は多いと思いますが、数多い彼の国内(日本)企画の作品に比べて本作では生き生きとサックスをブローしています。さらにニキ・パロットがベースだけでなくヴォーカリストとしても数曲気を吐いています。国内企画の作品を否定するつもりはありませんが、アレンもパロットもここでは別人のように楽しげにプレイしています。"In A Mellow Tone", "How Long Has This Been Going On?", "Mood Indigo" など耳を傾けているとウキウキとしてきていい時間を過ごせたという気持ちになります。
タイトルのGeorgeはガーシュイン、Coleはポーター、Dukeはもちろんエリントンを表しています。
こういうアルバムに出会う度に中村氏に感謝したくなります。みなさんにもぜひ聴いてもらいたい一枚です。
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(CD)
ビル・パーキンスはリッチー・カミューカと並んで1950年代のウエスト・コースト・ジャズ・シーンを代表するテナー・サックス・プレーヤーです。
ウエスト・コースト‣ジャズには、大雑把な言い方をすれば、ニューヨークを中心としたイースト・コーストの穴倉で聴くような音楽とは対照的な解放感があります。そしてハングリーなところがなくて気品のある格好良さがあると言えるでしょうか。
パーキンスの作品にも推薦したいものがたくさんあるのですが、1956年の若き日に残したのが本作で前述のカミューカとさらにアート・ペッパー(アルト・サックス)も参加していて軽快でリラックスした中にもテンションの高さを感じさせるプレイは聴いていて爽快この上ないものになっています。
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( LP /CD)
シンプルで明快なフレーズとこの上なく寛いだ歌心の持ち主であるトランぺッター、ハリー・”スウィーツ”・エディソンが63歳で、そして以前にこの欄で紹介したことがあるサックスのズート・シムズがその10歳年少で、この二人が1978年に録音したのが本作品です。
ズートは暖かい音色とスウィンギーな親近感、さらに魅力的で豊かな歌心を身につけたプレーヤーで、この二人だけのフロント・ラインによるセッションはこのアルバムが初めてと思われます。
前述したように相通ずる音楽性によって、実にリラックスした好セッションになっています。意外性はないかもしれないですが、快いスウィング感に乗って期待通りの音が出てくる安心感を楽しんでください。
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( LP /CD)
白人アルトの鬼才、アドリブの天才と評されるアート・ペッパーに関しては数々の名盤が挙げられますが、その中から敢えて今回はジャック・シェルドン(トランペット)との共作になる本作を紹介します。
録音は1980年で共作といえどもレーベルとの契約の関係であって実質的にはペッパーのリーダー・アルバムと考えて差し支えありません。当時アメリカではウエスト・コースト・ジャズのリバイバル機運が盛り上がっていて、日本のジャズ・ファンにも本作品は注目を浴びたようです。
例えば "You'd Be So Nice To Come Home To" ではかの歴史的名盤 「ミーツ・ザ・リズム・セクション」での同じ曲の演奏と異なり、ミディアム・アップ・テンポの演奏とは打って変わってミディアム・スロウ・テンポで原曲のバラード的な味をうまく生かしています。その他 "Softly As In A Morning Sunrise", "Broadway" などすべてのトラックにワクワクさせられますが、私のベスト・トラックは最後に出てくる "Minority" です。胸がしめつけられるくらい切ない哀愁を感じさせる素晴らしいパフォーマンスです。是非聴いてもらえたらいいなと思える作品です。
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( LP / CD)
今回はアコースティック・ギターのチャーリー・バードの作品を採り上げます。 スタン・ゲッツとのコラボレーション・アルバム "Jazz Samba" (1962年作)でボサノバをアメリカの音楽の主流に押し上げてその結果彼の名は一躍知られるようになりました。
数ある彼の作品の中でも本作は2000年リリースで晩年のものであり、タイトルにある Louis とはルイ・アームストロングのことで一種の追悼盤になっていると言えます。 ピアノトリオにトランペット、サックスが加わり、曲によっては(例えば "Hello Dolly")ディキシーの香りがしますが編成はアコースティックギターとピアノトリオにトランペット、サックスが加わり多彩で楽しいアルバムになっています。
"Autumn In New York", "Rosetta", "What A wonderful World" など選曲も軽快なものからしっとりしたものまで変化に富んでいます。
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(CD)
前回に続いてクラリネット奏者がリーダーの作品で、この欄では初めての日本人ミュージシャンを採り上げます。
1992年に録音された鈴木章治&リズム・エースによる「不朽のスウィング名演集」で、この年このユニットは結成40年を迎えてリーダーは60歳になったとのことですが、長期にわたって第一線に立ったクラリネット・プレーヤーとして日本のジャズ界を牽引した一人と言えるでしょう。
実はこの作品は以前からずっといつ推薦しようかと考えていたもので、楽しくて、聴いていて心地よく、また録音のクオリティーも高くすべての面で素晴らしい仕上がりになっていて、全編スタンダード曲で、当店で流していても常にお客さんの反応がよいアルバムです。発売時に「スウィング・ジャーナル誌」においてもずいぶん高評価だった記憶があります。
オールド・ファンから愛される "鈴懸の径" もいいですが、私のフェイヴァリット・ナンバーは "On The Sunny Side Of The Street" と "Pettie Fleur (小さな花)" です。ジャズ・ビギナーの人にも是非耳を傾けてもらいたい佳作です。
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(CD)
天気のよい穏やかな休日の昼下がりに穏やかで楽しい音楽に耳を傾けたい ...
そんな時にすすめたいのがロン・ホケットのクラリネットを中心にしたクインテット・アルバムです。
楽器の編成はリーダーのクラリネット(一部ソプラノサックス)にギター、ピアノ、ベース、そしてドラムスで全編心地よいスィング感にあふれていて、選曲も "My Ideal", "Just One of Those Things", "Memories of You" など佳作と言えるスタンダード曲が半分くらい占めています。
クラリネットをメインにしたジャズ作品を探すのは多少骨が折れるかもしれませんが、当店にはこのアルバム以外にも聴いてもらいたいものが何枚もあり、今後このサイトで紹介していきたいと思います。
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(CD)
以前に紹介させてもらったダスコ・ゴイコビッチと同様心に沁みるトランぺッター、フレディ・ハバートの「バラの刺青」が2016年最後のおススメになります。
彼の作品にはラウド・ブロウという形容がふさわしいものが多いですが、83年録音の本作と89年録音の "Topsy" (これも当店に備えています)が絶頂期のミュート・プレイの代表作と言えます。
"EMBRACEABLE YOU" , "TIME AFTER TIME" , "MY FOOLISH HEART" など選曲も申し分なく、いずれの曲もフレディにしか吹くことのできないミュート・プレイの新境地であり、すばらしいバラード・プレイヤーであると認識せざるをえません。
ピアノはケニー・バロン、テナーサックスにはリッキー・フォード、セシル・マクビーがベース、そしてジョン・チェンバースのドラムスです。解説にも「1983年の歌心短編集、ぜひご堪能下さい。」と述べられていますが、まったく同感です。
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(LP/CD)
アルト・サックスプレイヤーと言えば、アート・ペッパーや以前に紹介したポール・デズモンドあたりを挙げられる人が多いかもしれませんが、今回は一方の雄であるソニー・スティットの57~58年録音の作品をおすすめします。
彼は極めて多作家で、リーダー作だけでも優に100枚を超えています。このレコードのジャケットは本人のアップ写真を両面に使ってメンバーなどのデータは一切記載していません。彼の顔と名前だけで売れるという自信の表れでもあり、当時の信頼度と人気の高さが窺えます。
「自由奔放な即興演奏、絶頂期のスティットの代表作」というのが本作のLPのタスキに掲載された言葉です。アルトサックスとテナーサックスを持ち替えて、これでもかと芳醇な音色でメロディーやアドリブを吹きまくるスティットの至芸こそがこのアルバムの最大の魅力です。彼の作品を聴くとスカッとした気分になるのです。
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(LP/CD)
ユーゴスラヴィア出身のトランぺッター、ダスコ・ゴイコビッチ(発音しにくいと思います)のリーダー作が今回のおススメになります。
彼のアルバムにはいいものが多くて当店で流すとお客さんの反応が最も強い一人だと思います。
今回も迷いに迷ったうえ、ジャンニ・バッソ(テナーサックス、イタリア出身)が参加してトラックによってはフロント二管で一層豪華になることがこの作品を選んだ決め手になったとご理解ください。
98年の録音で二人はともに67歳でしたが円熟味や風格といったものが漂って、こういうものが演奏に説得力を増しています。
例えば "Angel Eyes", "If I Should Lose You" といったスタンダード曲においても、独特な哀愁を伴った旋律の美しいスローバラードとなって、得難い雰囲気がこの作品の核になっています。
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(CD)
ヴィブラフォンと言えばミルト・ジャクソンやゲイリー・バートンを思い浮かべる方が多いかと思いますが、前回のズート・シムズのアルバム紹介の際に少し触れたヴィクター・フェルドマンの数少ないリーダー作品で57年の録音です。
このアルバムは音質も良く、暗くなってからじっくりと聴くのもいいですが明るい時間帯にも(朝からでも)ヒーリング系のBGMとして楽しめます。
ピアノ・トリオを従えるだけでなくトラックによってハロルド・ランド(テナーサックス)、フランク・ロソリーノ(トロンボーン)が加わって彩りも豊かです。 他のメンバーはカール・パーキンス(ピアノ)、リロイ・ヴィネガー(ベース)、スタン・リービー(ドラムス)となかなかの豪華な布陣です。
フェルドマンはロンドン出身で、ピアノやその他の楽器も最上級のテクニックでこなして大物のスタジオ・ミュージシャンとして高い評価を受けました。
もし彼のパフォーマンスを耳にしたことがない方には一度聴いていただきたいと思います。
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(CD)
ダイアナ・クラールは優れたヴォーカル作品を数多くリリースしていますが、99年の通算5枚目にあたるこのアルバムが一押しになります。
ハスキーで少し意地悪な感じがする彼女の声がスタンダード曲、例えば "Devil May Care" や "Let's Fall in Love" などでエレガントで洗練された上質な雰囲気を生み出して耳を傾けている人はひきつけられていきます。
当店でも昼夜を問わずこのアルバムをかけると満足した表情になるお客様が多い気がします。
ジャズは「大人の」とか「洗練された」というイメージで捉えられることが多いのかもしれませんが、この作品はまさにそういうものを表していると思います。
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(SACD)
1984年録音でテナーサックスがリーダーのアルバムです。
ズート・シムズの演奏に耳を傾ける度に、彼がジャズの素晴らしさを丁寧にそして誠実に語りかけている気がするのは私だけでしょうか。
彼の作品には優れたものがたくさんありますが、特にこの作品を挙げたのは毎回(特に夕暮れ時に聴くと)切ないくらいにテナーサックスの表情の豊かさが伝わってきて、さらに途中からヴィブラフォン(ヴィクター・フェルドマンです!)が加わってクインテット編成になり至福の時が訪れます。
これ以上うまく表現できませんが、ズートをあまり知らない人にはこのアルバムあたりから聴いてもらえたらジャズを楽しむ範囲がグッと広がるのではないかと思います。
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(CD)
アルト・サックスの音色がこの上なく美しいといわれるポール・デズモンドのアルバムが今回のおススメです。
この2,3カ月の間に2回この作品を流した時、20代と50代のお客様がそれぞれ強い反応を示されてその後デズモンドのCDを買いに走った様子です。
デイブ・ブルーベック・カルテットでの演奏にも素晴らしい作品がたくさんありますが、このカルテットを離れてほとんどの場合はピアノレスだったのはブルーベックへの敬意とか遠慮があったのでしょうか。
59年録音のこのアルバムはギターのジム・ホールとの絶妙なコラボレーションが全体のサウンドをソフトで甘美なものにしています。
たぶん多くの方がデズモンドのアルト・サックスの音にうっとりされるのではないかと。
暗くなってから聴くのがいいかなとは思いますが、当店では是非レコードで聴いてもらいたいです。
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(CD/LP)
ビル・クロウはベーシストとして東海岸のそうそうたるプレイヤーたちとセッションを重ねていましたが、リーダー作品としては初めて1996年にこのアルバムを発表しました。
ジャケット写真がかっこいいとか、音質が素晴らしい(ヴァン・ゲルダーによる録音です!)とかもあるけれどなんといっても演奏の質が素晴らしいです。
ベース、テナーサックス、ギター、ドラムの4人編成ですが、密度が高くてもっと多くのメンバーが参加しているかのように思えます。
"Just Friends", "Night Lights", "Broadway" などのしぶい選曲ですが、中でも特に "Autumn Leaves" はお薦めです。私個人としてはマイルスの演奏に匹敵するかなと...
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(LP/CD)
1999年の作品。ほとんどの人がこのアルバムを聴いて質の高いヴォーカル作品と感じるのではないかと思います。
ミキ・ブラウンの声は少しハスキーですが、黒人特有の艶のある魅力的なヴォイスと言えます。
選曲はお馴染みのスタンダードばかり("Route 66", "Misty" など) で、アップテンポありバラードありの全く飽きない内容になってます。
秋の夜長を楽しむのに最高の1枚かなと思います。
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(CD)
イタリアのトランぺッター、ファブリッツイオ・ボッソがリーダーのクインテット作品(テナーサックスとの2管)です。
2004年の録音で日本でのデビュー・アルバムになっています。
"Honeysuckle Rose" や "Have You Met Miss Jones?" など彼が愛するスタンダード・ナンバーがイタリアのミュージシャンたちの感性をとおして新たな響きを生み出していると言えます。
トランペットがジャズの花形楽器だった頃の本来のパワーを聴きたい
人にはこのアルバムに是非耳を傾けていただきたいと思います。
何十年も前に作られたナンバーがこんなにもかっこよく、現代感覚
あふれるスタイルで演奏されるのも本当に新鮮です。
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(CD)
極上のスイング感とエレガンスをたたえたピアノトリオによる
究極のリラクゼーション・ジャズです。
オランダの実力派ピアニストであるロブ・ヴァン・バヴェルは88年に他界したトランペットの詩人チェット・ベイカーの最後のピアニストで、この作品は初めて取り組んだトリビュート・アルバムです。
"Autumn Leaves" "Stella by Starlight" 等、チェットが愛した名曲
を取り上げています。
昼夜を問わず落ち着いた雰囲気の中で音楽を楽しみたい時におススメの1枚です。
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CD
カウント・ベイシーと言えばビッグバンドのイメージが強いでしょうが、ベイシー楽団から選ばれた生え抜きのメンバー8人による編成でオーケストラとは違った味わいのある演奏が楽しめます。
この作品には楽しい音楽がぎっしり詰まっていて、愛聴盤にしているオールドファンの方が多いのではないかと思います。
メンバーの一人フランク・フォスターがこのアルバムの録音当時(1962年)を思い起こしこう言ってます。「小難しい音楽が流行っていたが、ジャズはエンタテイメントであって修行じゃない。学問とも違う。まずは楽しめなくちゃ。」
この言葉がこの作品を物語っています。
ウキウキした気分になりたい時にはおススメです。
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CD/LP
ほぼワンホーンカルテットによるタイトル通りバラードのオンパレードですが、夜じっくりとジャズに浸るには最高の1枚かと。
冒頭 ”DANCING IN THE DARK" に始まり”I CAN'T GET STARTED" へと続くとキャノンボールの洗練されたアルトサックスの音色にジャズが好きでよかったと思わせてくれ、後半のボサノバ曲 ”O AMOR EM PAZ”あたりでは陶酔の境地に。
ラストの "THE SONG MY LADY SINGS” では言葉がありません。
ぜひ耳を傾けてほしい作品です。
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CD