NAT ADDERLEY QUINTET featuring VINCENT HERRING / THE OLD COUNTRY

"Work Song", "The Old Country" などの名曲の作曲者としても知られるナット・アダレイ(コルネット)のアルバムが今回の推薦盤です。

ナットはライオネル・ハンプトン楽団やウディ・ハーマン楽団での活動の後、1959年に兄のキャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)がマイルス・デイヴィスのバンドから独立した際に再結成したバンドに加入して兄を長い間サポートしました。兄が1975年に他界した後はショックのあまり一時活動を停止しましたが、その後ロン・カーターやジョニー・グリフィンなど様々なミュージシャンと共演しました。

本作は1990年の録音で、当時ナットは59歳で晩年にあたる時期と言えるかと思います。そしてもう一方のヴィンセント・ハーリングはまだ26歳という若さで、以前からキャノンボールを手本として勉強していてナット・アダレイ・クインテットに加わるのが彼の望みだったということです。二人は強い絆で結ばれていたということです。

この二人のフロント二管によるクインテットは、ナットの洗練されたコルネットに対してヴィンセントのアルトはエネルギッシュで対照的ですが、この作品の解説(山口弘滋氏)にもあるように「アーシーな部分と洗練された部分とが絶妙のバランスで混然一体となって生み出されていると言えばいいだろうか。」というのが的を得た表現かと思います。ファンキー・ジャズのイメージが強いナットとはずいぶんちがった雰囲気が感じられます。

アルバム・タイトル曲以外にも "Bohemia After Dark", "Stella By Starlight" など素晴らしい演奏が繰り広げられます。

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(CD)